
中堅の中学受験塾である桜花ゼミナールを舞台にした二月の勝者の第2巻のレビューです。
二月の勝者に出てくる中堅塾の桜花ゼミナールって栄光ゼミナールがモデルのような気がします。
二月の勝者の2巻では中学受験塾でおこりがちな転塾の問題や、できる生徒の学校での苦悩、国の指示による私立大学の合格者数の大幅な削減問題などが取り上げられていました。
では、二月の勝者の第2巻のレビューを書きます。
少しネタバレもあるので、そこは注意してください。
私大の合格者削減理由とは?
大学受験において早稲田や明治、青学においては2000人超も合格者数が削減されています。
このことが、私立大学の合格者の大幅な削減につながったのです。ただし、2018年の9月には文部科学省から、この厳罰化が当面見送られると発表がありました。
厳罰化が当面の間、見送られる理由としては、大学が合格者数を抑制する傾向が顕著になったために倍率が上昇したり、合格者数を絞ったために入学直前になって追加合格が相次ぐなど混乱の原因になったためです。
厳罰化が当面のあいだは見送られることになったとはいえ、今後は人気のある大学では以前よりは合格を勝ち取るのは難しくなってくるかもしれませんね。
こういった私大の合格者数削減問題などの旬なテーマも取り込みながら、ストーリーが進むので、中学受験の物語ではあるものの、今の大学入試のことも少しは知ることができて役立ちます。
勉強ができる子どもは小学校で苦労する?
小学校ではスポーツができる子は皆から尊敬されるし、褒められたりして人気者が多いです。
それに対して、勉強できる子に対しては小学校の中では褒められる対象にはなっていないという描写がありました。
中学受験することを良く思っていない教師もいるようですし、塾にいってるから勉強ができて当たり前という小学校の子どもたちの反応。
本当ならもっと認めてもらってもよいはずなのに、認めてもらえないもどかしさ。
大半が中学受験するような小学校だったら、勉強のできる子どもはきちんと認められると思うのだけど…。小学校にもよるのかな?
息子のケンタが通っていた小学校の担任は中学受験に理解のある先生だったので助かりました。
中学受験に否定的な先生だと、受験前の欠席問題などは、ちょっと大変かもしれませんね。
勉強のできる子どもにとっては、勉強できることが当たり前に褒められる塾というのは居心地がよく、学校よりも塾の方が好きになるというのも何となく理解できます。
中学受験する子供たちは、小学校時代の遊びたい盛りに色々なことを我慢しなければいけませんし、互いに切磋琢磨して志望校合格を目指し、努力できる小学生は素直にすごいと思う。
勉強に限らず、夜遅くまでスポーツを頑張っている小学生も見かけますが本当に感心しますね。
中学受験塾のノルマと転塾問題
小学6年生の春というのは、転塾の多い時期。
SAPIXでも、ケンタと同じ学校の友達で転塾していく人は何人かいました。
転塾していく人の大半はコースが落ちて転塾でしたね。
思ったように成績が伸びないのは塾が合っていないからと考える保護者は、6年生の春が転塾の最後のチャンスとみて夏前までに塾を変わろうとします。
しかし、塾側としてはある理由があって6年生の転塾を何としても阻止したい。
そして、転塾の可能性のある保護者に対して塾講師の黒木がある行動をとりますが、違和感がありました…。
さすがにその方法は最上位クラスには使えないそうですが、なんだか、黒木の行動にモヤモヤしました。
塾にはオプション講座のノルマがある?
二月の勝者の舞台となる桜花ゼミナールでは、春期講習はオプションとなっています。このあたりは塾によって違うのでしょうか?
保護者は通常授業の月謝に上乗せして、季節講習などの代金を支払うようになっています。
家庭によっては季節講習をとらないところも出てきますが、塾側の対応がかなりリアルな描写でした(笑)
詳細は二月の勝者2巻で確認してくださいね。
受験は課金ゲーム
6年生の塾代は二月の勝者の1巻で約150万円となっていましたが、桜花ゼミナールでは
- 通常授業
- 春期講習
- GW特訓
- 前期日曜特訓
- 夏期講習
- 勉強合宿
- 志望校別特訓
- 冬期講習
- 正月特訓
と、オプションが盛りだくさんで、これ以外にもあると書かれています。
中学受験は課金ゲーム!
課金してでも合格を勝ち取りたいという保護者の気持ちをうまく利用している感じです。
中学受験塾の裏側を垣間見ているようで、怖い…。
でも、オプション講座をとりあえずとって塾になんとなく通うよりも大事なことは家庭学習だと思うのだけど。
親は塾の言いなりになるのではなく、きちんと取捨選択するべきなのではないかと思うのだけど、なかなか言いにくいのかもしれませんね。
フェニックスの生徒は200万円を塾に落とすと書いてありましたけど、SAPIXの小6の1年間で200万もかかりませんでしたよ。
他塾とあまり変わらないのでは?
直前期には個別指導(プリバード?)だったり、家庭教師をつける家庭も多いと聞くけど、塾だけだったら200万円もかかりません。
中学受験は目的地(大学)へ到着するための特急券
目的地を大学として、そこへたどり着くまでのルートに関してうまく描かれていました。
- すべて公立(普通列車)
- 私立中高一貫校(特急列車)
一番安上がりは当然、公立中学、公立高校、国立大学というルートです。
ただ、この普通列車ルートは友達に影響されやすいなど、目的地へ到着する前に途中下車してしまう恐れがあります。
途中下車してしまうのを防ぎ、我が子を確実に目的地に到着させたい親は中学受験という特急券を買い求める。
特急券を買ったら終わりではなく、座席が確保されるかわからない自由席から確実に席のある指定席、そしてグリーン席券へとアップグレードしていくのです。
中学受験というシステムは、まさにお金をかけた者が圧倒的に有利と書かれていました。
ほんの一握りの子どもだけですが、塾へ通わずに超難関校に合格する子どももいますが、お金をかけた方が有利なのは確かでしょう。
もしくは、突出した成績優秀児は特待生制度を使うのもいいですね。
中学受験は本当にお金がかかりますし、一度足を踏み入れてしまうと途中下車しにくくなります。
二月の勝者を読むと、お金の面だけではなくメンタルの面も含めて、軽い気持ちで中学受験は始めてはいけないことがよくわかります。
中学受験は親も子も覚悟が必要ですね!
まとめ
今回書いたこと以外にも、成績によって受けるべき模試の違いについてや、母集団が違うので高校受験の偏差値と中学受験偏差値は全く別物だということなどについても書いてありました。
そもそも、塾の出している偏差値もバラバラです。
難関校志望者の多いSAPIXの出している偏差値と四谷大塚や日能研の出している偏差値では同じ学校でも5~10くらい違いますし、母集団によって偏差値は変わってきます。
だから、各塾が実施している大きな模試も使い分けが必要なのです。
二月の勝者2巻には、学力別に受けるべき模試についても書かれてあり、参考になりますよ。
中学受験をぼんやりとでも考えている方は読んでみると、いろいろなことがわかるので為になるでしょう。
二月の勝者の他の巻についてのレビューも書いています。
あわせて読みたい
中学受験がどんなものなのか?を知りたい方にはこちらの本もおすすめです。
お子さんと一緒に中学受験のイメージができると思いますよ。